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フィガロの結婚(その3) [オペラ]

第二幕は伯爵夫人が、夫であるアルマヴィヴァ伯爵の愛が冷めたことを嘆き
カヴァティーナ(Cavatina) 「愛の神よ、安らぎを与えたまえ」
”Porgi amor qualche ristoro"を歌う場面より始まる。。。

侍女のスザンナは伯爵が言い寄っていることを伯爵夫人に話している。
フィガロは伯爵夫人とスザンナに、伯爵から兵役に就けとの命令を受けた
小姓のケルビーノをスザンナに変装させ伯爵が言い寄っている現場を
夫人が押さえ懲らしめよう、さらに夫人には愛人がいるとの密告書を
伯爵に届け動揺させようとの作戦を立てフィガロは退場する。。。

ケルビーノが軍服姿で夫人にお別れの挨拶をするため居間を訪れる。
スザンナから伯爵夫人に歌を捧げる様に促されたケルビーノは
照れながら歌い出すが次第に燃えてくる。。。
伯爵夫人も聞惚れてくる様子がうかがえる。。。
第二幕第二景第12曲ケルビーノのアリエッタ「恋とはどんなものかしら」
”Voi che sapete che cosa è amor" がその歌です。(このアリエッタは
この記事の最後に。。。)

Marriage of Figaro.png

ケルビーノが歌い終わると伯爵夫人とケルビーノとの間にはなにやら怪しげな
雰囲気が漂う。。。スザンナはケルビーノを急かし伯爵夫人と共に女装を
開始する。 (ケルビーノ役は女性歌手が務めているわけで少年衣装の女性歌手に
女装を行うというややこしくも面白い展開になる)
スザンナは衣裳部屋に行くため居間を出る。。。

突然、伯爵が部屋をノックする。伯爵夫人は驚きケルビーノを化粧室に隠れさせ部屋の
ドアを開けたところ伯爵が血相かえて飛び込み何をしていたか詰問する。伯爵は夫人が
浮気をしているとのフィガロが影で手配した密告書を手にしている。。。


伯爵と夫人との押し問答が続く中、化粧室から大きな音がする。
伯爵は直ちに化粧室の鍵を開ける様夫人に命じる。
夫人はスザンナが着替え中であることを理由に化粧室のドアを開けないので、
伯爵はこじ開ける道具をとりに、部屋のドアというドアには鍵を
かけた上で、夫人に同行を強要し、夫人と共に部屋をでる。

伯爵が鍵をかけて居間を出る直前にうまく忍び込こんでいたスザンナは
ケルビーノを化粧室より出す。。。ケルビーノは部屋の窓から飛び降り逃走する。
スザンナは化粧室に入り中から鍵をかける。。。

伯爵と夫人が部屋に戻り、伯爵が化粧室のドアをこじ開けようとするとスザンナが
出てくる。驚く伯爵と夫人!結局伯爵は夫人を疑ったことを詫びることになる。

女中頭のマルチェリーナが医師のバルトロと音楽教師のバジリオと共に現れ
マルチェリーナが持っているフィガロの証文(借入金を返済しない場合は結婚する
との約束状)の有効性を裁いて欲しいと伯爵に懇願する。。。一同大騒ぎとなり、
伯爵を動揺させ結婚許可を取り付けようとするフィガロの策略も水泡に帰す。。。


では!ケルビーノのアリエッタ「恋とはどんなものかしら」
”Voi che sapete che cosa è amor" です~☆
Cherubino: Pamela Helen Stephen


Voi che sapete .............................ご存知ですよね
che cosa è amor, ........................恋とはどんなものなのか、
donne, vedete .............................ご婦人がた、ご覧下さい
s'io l'ho nel cor ............................私が心に恋を抱いているのかどうか
Quello ch'io provo ........................私が感じていることを
vi ridirò, ....................................申してみましょう、
è per me nuovo, ..........................私には初めてのこと、
capir nol so. ...............................これが何だか分かりません。
Sento un affetto.............................私はある愛情をを感じています、
pien di desir, ..............................望みで一杯の、
ch'ora è diletto, ...........................これは時に喜び、
ch'ora è martir.   ..........................時には苦しみです。
Gelo e poi sento .........................私は身が凍り、そしてその後感じます、
l'alma avvampar, ..........................魂が燃えあがるのを、
e in un momento ........................そして瞬く間に
torno a gelar. .............................また身が凍ります。
Ricerco un bene .........................私は幸せを求めています、
fuori di me, .................................自分以外の誰かに、
non so chi'l tiene, ........................でも誰がそれを持っているのか、
non so cos'è. ...............................それが何だかわからないのです。
Sospiro e gemo ..........................私は溜息をつき、嘆きます、
senza voler, ................................おのずと、
palpito e tremo ...........................胸が高鳴り、震えます、
senza saper. .............................知らないうちに。
Non trovo pace ...........................私には安らぎがありません、
notte né dì, ...............................昼も夜も
ma pur mi piace ........................だけど楽しいのです、
languir così. ...............................こうして悩むのが。
Voi che sapete ...........................ご存知ですよね、
che cosa è amor, ........................恋とはどんなものなのか、
donne, vedete .............................ご覧下さい、ご婦人方
s'io l'ho nel cor. ............................私が心に恋を抱いているのかどうか。


Le Nozze di Figaro

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モーツァルト30歳・「劇場支配人」と「フィガロの結婚」(ウィーン⑥1786年)



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さとふみ

モーツァルトのオペラは音楽として最高レベルのもののひとつですね。
by さとふみ (2009-05-16 06:32) 

アマデウス

さとふみさん!こんにちは~☆
コメントありがとうございます!
モーツアルトのオペラには世にも優れた芸術的な驚異が横たわって
いると思います。
by アマデウス (2009-05-16 09:08) 

さとふみ

イタリアオペラなどの場合でしたら劇場前列で豪華な衣装などを楽しみつつ見るのが楽しいとも思うのですが、モーツァルトのオペラは音の通りの良い劇場で後方上段から音のバランスを楽しみつつ"聴く"というのも良いという印象を持っています。絶妙なアンサンブルが聴けます。
by さとふみ (2009-05-17 07:46) 

アマデウス

さとふみさん!こんにちは~☆
わが意を得たりの再コメントありがとうございます!
小林秀雄は「モオツァルト」において「たとえモオツァルトの
歌劇が上演されても目を閉じて聴く」と記述していましたね。

by アマデウス (2009-05-18 08:52) 

みど

モーツアルトはすべての基本でありながら最高に難しい音楽です。
勉強すればするほどハマっていく、不思議なパワーもあります。。
by みど (2009-05-19 05:23) 

アマデウス

みどさん!こんにちは~☆
コメントありがとうございます!
汚れのない純粋な音楽で存在するものや感じとれるものを
そのまま表現しているということでしょうね~☆

by アマデウス (2009-05-19 11:55) 

Cecilia

さすがアマデウスさん!
小林秀雄も当然読んでいらっしゃるのですね。
私は大学の専門が日本文学の近現代だったため、ゼミで「モオツァルト」を読んで発表したのですが、「疾走する悲しみ」はなかなかわかりません。
言われればそうかなあ・・・とは思いますが。
こんな記事も書いています。
http://santa-cecilia.blog.so-net.ne.jp/2006-01-31

ケルビーノの"Voi che sapete"も大好きですが、「自分で自分がわからない」も面白いですね。
by Cecilia (2009-05-22 09:36) 

アマデウス

Ceciliaさん!こんにちは~☆
コメントありがとうございます!
☆「疾走する悲しみ“tristesse allante”」ではなく「疾走する喜び”joie allante”」だと受け止めています。
☆2006年1月31日付の記事拝誦しました。モーツアルトの母親は南チロルの出身でこの地方では多分にスカトロジーを話題にし笑いころげる慣わしがあったわけです。モーツアルトの書簡は音楽とスカトロジーの対位法による見事な文学であり、明るく、美しく、楽しく、純粋で天真爛漫なモーツアルトの音楽の根底をなしていると思います。
☆アインシュタインは「死とはなんぞや」との質問に対し「モーツアルトの音楽が聴けなくなることである。」と応えています。
お互いモーツアルトの音楽末永く楽しんで行きたいですね~☆

by アマデウス (2009-05-22 10:57) 

Ariel

疾走する悲しみ....たしかアンリ・ゲオンが言っていますね。それを小林秀雄さんは引用したのですよね。アマデウスさんご指摘の弦楽五重奏曲第4番ト短調、お父様が亡くなられた時と関係づけられているようですね。
by Ariel (2010-02-26 12:09) 

アマデウス

Arielさん!こんにちは~☆
こちらにもコメントありがとうございます!
ご指摘の通り、フランスの文人アンリ・ゲオンが1932年のその著「モーツァルトとの散歩」でフルート四重奏曲ニ長調K.285第一楽章(アレグロ)に言及して≪”tristesse allante”(軽やかな、流れ行く悲しさ)換言すれば”allegre tristesse”(爽やかな悲しさ)とも言える。≫と述べていますね★これを小林秀雄が弦楽五重奏曲ト短調K.516の第一楽章にも当て嵌め”疾走する悲しみ”と訳したわけです★


by アマデウス (2010-02-27 06:39) 

flat feet arch supports

It’s the best time to make some plans for the future and it’s time to be happy. I’ve read this post and if I could I want to suggest you few interesting things or advice. Maybe you can write next articles referring to this article. I wish to read even more things about it!
by flat feet arch supports (2013-05-02 20:30) 

中田ヤスタカ被害者の?

読んで何にたいしてどう感じたか ボケてるけどしおり
by 中田ヤスタカ被害者の? (2013-07-07 16:42) 

バーバリーブラックレーベル

お世話になります。とても良い記事ですね。
by バーバリーブラックレーベル (2013-07-31 04:11) 

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