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フィガロの結婚(その5) [オペラ]

第4幕(終幕)の場所設定は、夜の帳に包まれた伯爵邸の庭園。

暗闇の中、バルバリーナが何かを探しながら歌う。。。

バルバリーナはスザンナの従妹である。
伯爵により兵役に就けと命じられているケルビーノ(伯爵の小姓)との結婚を伯爵に願い出ている。
ケルビーノは本来であれば伯爵邸を出立し、兵役に就いているべきだが、なんとか
兵役を逃れようと画策している。。。伯爵夫人に恋焦がれ更には伯爵邸の女性という
女性に恋心を抱く思春期の若者である。

バルバリーナが探しているのは伯爵がスザンナに返すように命じた
「ピン」なのである。この「ピン」はスザンナから伯爵に宛てた手紙に
止めてあったものであり、伯爵からは誰にも内緒でそっとスザンナに
返す様にと言いつかったものである。

バルバリーナのカヴァティーナ”L'ho perduta...me meschina"
「失くしてしまった...困ったわ」36小節、ヘ短調が始まる。

この曲を初めて聴いて感動しないということはないのでは。。。
モーツァルトはバルバリーナを当初は無邪気なおしゃべりのこましゃくれた小娘として登場させ、
この曲によってすっかり美しい乙女に変化させてしまうのである。

では、聴きましょう~☆
Barbarina: Constanze Backes



BARBARINA.................................................. バルバリーナ

L'ho perduta... me meschina,,,.....................あれをなくして。。。こまったわ。。。
ah, chi sa dove sarà?....................................どこにあるのかしら

Non la trovo,,,........................................... みつからないわ。。。
L'ho perduta、 me meschinella, ....................あれをなくして、惨めになってしまう、
ah, chi sa dove sarà? .................................. あァ、一体どこなのかしら

Non la trovo...e mia cugina,,,....................... 見つからないわ, あたしの従姉は。。。
E il padron... cosa dirà? .............................. それにご主人さまは。。。なんて言うかしら

バルバリーナが「ピン」を探しているところにフィガロが現れ、バルバリーナから
ことの経緯(いきさつ)を聞き出す。。。「ピン」はフィガロが見つける。

伯爵夫人からもスザンナからも今回の計略を聞かされていないフィガロは、
スザンナが伯爵に本当に気があるものと思い込み、女性が信じられないとして
アリア「よく目をあけて見ろ」”Aprite un po' quegli occhi" を歌い、バジリオ、
バルトロそしてマルチェリーナを証人とする為、庭で待機させる。

スザンナと服を取り替えてスザンナに変装した伯爵夫人が登場すると、
たちまちケルビーノの愛の攻勢を受ける。その間に、アルマビヴァ伯爵も庭に
やって来てスザンナと信じて一生懸命甘い言葉をささやきスザンナ(実は伯爵夫人)に
ダイヤの指輪まで与える。。。

フィガロは、伯爵夫人がスザンナであることを途中で見抜くが、伯爵夫人(実はスザンナ)に
ひざまずき恋のせつなさを訴える。スザンナはフィガロが本気だと思いフィガロに
平手打ちをくらわせる。ここでフィガロとスザンナ(伯爵夫人の衣装)は仲直りする。

伯爵は、夫人(実はスザンナ)とフィガロの仲睦ましい場面を目撃し、夫人とフィガロを
浮気の場で捕らえたと思い込み大声で「皆の者出会え!」と叫ぶ。
夫人(実はスザンナ)は伯爵に許しを何度も乞うが伯爵は受け入れない。

そこへ本物の伯爵夫人が登場し、さすがの伯爵も落ち着きを取り戻し、大いに恥じ入り、
”Contessa perdono" と伯爵夫人に許しを請う(Andante)。

伯爵夫人は「私はあなたより率直です。ハイと申しましょう」”Piu docile io sono,
E dico de si." と優しく答える。

ここから全員の歓喜の合唱(Allegro assai)で「おかしな一日」”la folle journee"の
素晴らしい終演となる。。。

注:「おかしな一日」とはボマルシェBeaumarchais(1732-1799)のフランス語戯曲タイトル
「フィガロの結婚またはおかしな一日」”Le Mariage de Figaro ou la folle journee"より引用。  

  
では”Contesa perdono"より聴きましょう。。。

アルマビヴァ伯爵:Rodney Gilfry
伯爵夫人:Hilevi Martinpelto
フィガロ:Bryn Terfel
スザンナ:Alison Hagley
ケルビーノ:Pamela Helen Stephen
マルチェリーナ:Susan MacCulloch
バルトロ:Carlos Feller
バジリオ:Francis Egerton
ドン・クルツィオ:Francis Egerton
アントニオ:Julian Clarkson
バルバリーナ:Constanze Backes
The Monteverdi Choir/The English Baroque Soloists
指揮:John Eliot Gardiner


CONTE.....................................................伯爵
Contessa perdono!....................................伯爵夫人、許せ!      (Andante)

CONTESSA...............................................伯爵夫人
Più docile io sono,....................................私の方が従順です。
e dico di sì...............................................ですから、ハイと申しましょう。

TUTTI.......................................................全員
Ah, tutti contenti........................................あァ、みんな、          (Allegro assai)
saremo così..............................................これで満足できるでしょう。

Questo giorno di tormenti,..........................苦しみの今日という日、
di capricci, e di follia,.................................気紛れで、狂気の日
in contenti e in allegria...............................こんな日を満足と喜びのうちに、
solo amor può terminar..............................終わらせ得るのはただ愛のみです。
Sposi, amici, al ballo, al gioco,...................花嫁花婿、友人たち、踊ろう、楽しもう、
alle mine date foco!...................................花火に点火しよう!
Ed al suon di lieta marcia...........................楽しい行進曲の音にのって
corriam tutti a festeggiar!............................皆でお祝いに駆けつけよう!

(幕)

特に本文では触れていないが、このオペラには終始「バジリオ」”Basilio"というアルマビヴァ伯爵お抱えの音楽教師が登場する。
バジリオは権力に絶対服従の目立たない存在に徹しているが、邸内で見たり聞いたりするスキャンダラスな事態を喋って回り、
伯爵の恋の取り持ち役を行っている人物である。
モーツァルトは権力に服従することを嫌い、自由な音楽の世界を求めてザルツブルグの宮廷音楽家の職を辞したわけだが
このバジリオという音楽家にはモーツァルトが忌み嫌い、絶対に自分(モーツァルト)はこうはなりたくないという思いを込めているのであろうか。。。 

ウイーンでの初演(1786年5月1日)は大成功であった。アリアのみならず重唱までもがアンコールされ大幅な上演時間の延長となった。
これにたまりかねた皇帝より「アンコールはアリアのみに限る」との主旨の通達が出されたほどであった。

1786年12月のプラハ(チェコ)での上演も大好評を博した。
その後1787年1月プラハ滞在中のモーツァルトに新曲の依頼がプラハの民族劇場(スタヴォフスケ劇場=Stavovske divadlo)
より提示されたのである。。。
そしてこの新曲こそが「ドン・ジョヴァンニ」”Don Giovanni"K.527となるのである。


Le Nozze di Figaro

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塩

フィガロのご掲載大変なご苦労をなさったこと思います。朝から楽しませていただきました。
by (2009-08-07 09:14) 

アマデウス

Dr.塩!こんにちは~☆
ありがとうございます!
今度は「ドン・ジョバンニ」をとりあげようかなァと考えております。
これからも宜しくお付き合いの程お願い致します☆
by アマデウス (2009-08-07 12:47) 

whitered

アマデウスさん、こんばんは。昨年、『フィガロの結婚』を観に行く機会があり、感動しました。とにかくアリアはどれもこれも素晴らしいものでした。改めて、モーツァルトの素晴らしさを認識しました。是非『ドン・ジョバンニ』についても、教えてください。
by whitered (2009-08-14 21:23) 

アマデウス

whiteredさん!こんにちは~☆
モーツアルトのオペラがお好きなことわかり嬉しいです。
「ドン・ジョバンニ」は9月半ば頃「その1」をupしたいと思っております。
とてもとてもお教えする様なレベルのものではありませんが、お互い楽しめれば、嬉しいです。。。
張り合いのでる嬉しいコメントありがとうございます!
これからも宜しくお願い致します☆
by アマデウス (2009-08-15 06:38) 

プラダ 店舗

カッコいい!興味をそそりますね(^m^)
by プラダ 店舗 (2013-06-29 15:00) 

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