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南米の野生蘭(その2) [植物・花]

の祖先が地球上に現れたのは約8千万年前位とされており、被子植物の中では最も後に
出現したのです。

最初の被子植物は、1億4000万年前(ジュラ紀後期) に裸子植物から分化したとされており、
の祖先が現れた時にはすでにキク科マメ科などの被子植物が地球上を覆っていたわけです。

★ジュラ紀(Jurassic period)は現在から約2億年前にはじまり、約1億4000万年前まで続く地質時代である。
三畳紀の次で白亜紀の一つ前にあたる中生代の中心時代で恐竜の時代とも言える。
恐竜は約6,500万年前白亜紀後期に絶滅したとされている。
★白亜紀(白堊紀、はくあき、Cretaceous period)は、約1億4000万年前から6500万年前の時代を指す。

虫媒花としては昆虫や鳥に受粉を手伝ってもらう必要がありますが、既存の花の姿、形では
媒介昆虫に強くアピールし、いち早く引き寄せることが困難です。そこで各バイオーム(「生態系」)の
ニッチに進出し、昆虫や鳥受けする極めて特異な花形をしたり、飛んでいる昆虫や鳥に真っ先に
目立つ様既存の樹に着生する(着生蘭)など、生存をかけて工夫(進化)してきたのです。

短期間に急速に適応拡散してきたため種の間の遺伝学的隔たりが小さく、種間雑種
属間雑種ができやすいという特徴をもっており、現在においても急速な進歩を続けていると
考えられています。

低地(温暖地)や高地(寒冷地)で、過酷な環境にも順応し、いろんな形をした花を
咲かせています。

自分で歩いて媒介となる昆虫や鳥のところに行けないので昆虫や鳥に好かれる形と色に
自分自身を変化(進歩)させつつ昆虫や鳥の登場をじっと待っているわけです。

例えばこの蘭、マスデバリア・カウディボルブラは南米の寒冷地に咲く蘭ですが、
まるでワインオープナー(コルク栓抜き)の様な形をしています。小さな昆虫が止り易く、
なお且つ早く受粉を媒介させるべく花の中心(花芯)に誘導する形をとっているのでしょう。
こういう形をみると、まだまだ進化途上にあることがわかります。


DSC02308.JPG
Masdevallia caudivolvula Krzl. 標高1,800m以上の寒冷地に分布





今回はアンデス寒冷地(標高1,800m以上の高地)に咲く
マスデバリア」”Masdevallia"という蘭の特集です。マスデバリアは暑さに弱いことから
四季のある日本では栽培が非常に困難とされていますが、一部交配種が栽培され市場に
出ています。画像はすべて野生(原種)のマスデバリアで、人工交配種・園芸品種ではありません。

★ラン科マスデバリア属



DSC02289.JPGDSC02293.JPG
                        Masdevallia coccinea Linden ex Lindl.

この画像のマスデバリアの花茎はかなり長く約30cmほどで、「地生ラン」として木陰などに群生しています。






IMG_7765.JPG           DSC02321.JPG
Masdevallia coccinea Linden ex Lindl.                  Masdevallia sanctae-fidel Krzl.     




濫獲やインフラの整備、農耕地の拡大による自然破壊によって絶滅の危機にさらされている種も多く、
マスデバリアに限りませんが野生蘭に出会う為には人里離れた山奥や秘境に出かける必要があります。

野生ランの国際間移動は「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」(略称CITES、
通称ワシントン条約)で規制されています。





DSC02303.JPGDSC02302.JPG
Masdevallia hieroglyphica Rchb.f.                     Dracula gorgona(Veitch) Luer & Escobar

★右側画像のDracula(ドラキュラ)は元はマスデバリア属に分類されていましたが1978年Carlyle A.Luer 博士により
ドラキュラ属に再分類されました。
★Carlyle A.Luer:1922~、米国の医学博士、植物(蘭)学者




「蘭」という言葉と漢字は中国からきたわけですが、「蘭」という文字は、「香りのある植物」と
いう意味で、すでに中国の春秋時代の思想家・孔子(B.C.551-479)が蘭を詠んでいるそうです。

他方、蘭は英語では「Orchid(オーキッド)」ですが、これはギリシア語の睾丸を意味する
「ορχις (orchis)」が語源で、ランの塊茎(バルブ)が睾丸に似ていることに由来するそうです。




DSC02304.JPG       DSC02305.JPG
Dracula wallisii(Rchb.f.) Luer                                   Dracula wallissii





ラン科の花は、昆虫の媒介による受粉のために特別に進化した構造をもつ虫媒花をつけるものが多いのです。
又、かなり限定された昆虫を対象にした特殊な適応が見られるものも多く、これは共進化(Co-evolution)
の結果と見られています。

★共進化:代表的な例として、ハチドリによるランの受粉がある。鳥は花の蜜に依存し、花は鳥による花粉拡散で生殖が可能になっている。
より効率的な花粉媒介を期待するなら、同じ種の花には同じ種のハチドリだけが来るようになっていた方がよい。
そのため、花はハチドリの形に合わせ、ハチドリも花からうまく蜜を取るように花に合わせた形に進化する。それによって鳥の嘴は長くなり、
花の形は深くなった(左下の画像ご参照)。






DSC02312.JPG        DSC02348.JPG
Masdevallia ventricularia Rchb.f                     Brassia arcuigera Rchb.f 
                                    これは標高1,000m~1,800mに分布する                                                     ブラシア属の蘭です。


         ☆☆☆☆☆☆         ☆☆☆☆☆☆         ☆☆☆☆☆☆


の祖先は約8,000万年前(後期白亜紀)にはすでに存在していたことが確認されており、
この時期は恐竜衰退を始めた時期でもあります。
又、地球上で最も若い山脈のひとつであるヒマラヤ山脈が、大陸同士の衝突による造山運動により、
隆起し始めたのが約7,000万年前(後期白亜紀)の時代でした。こういった地球の大きな
環境変化天敵の不在により蘭の祖先は急速に地球全土に拡大していったと考えられるのです。



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コメント 13

まっちゃん

蘭の多彩さにはびっくりしますね。
コスタリカで何十種類もの蘭を見ましたが、上の写真の中で似た物は1枚しか有りませんでした。

by まっちゃん (2009-11-20 18:47) 

黄昏の線路

ランのこと、大変勉強になりました!
色んな種類、形があって、大変奥が深いんですね!
by 黄昏の線路 (2009-11-21 03:13) 

アマデウス

まっちゃんさん!こんにちは~☆
コメントありがとうございます!
コスタリカは蘭の宝庫でもありますね☆
色んな蘭をご蘭になったのですね。。。(^―^)
by アマデウス (2009-11-21 07:50) 

アマデウス

黄昏の線路さん!こんにちは~☆
コメントありがとうございます!
ランは原種が3万種類、人工交配種も含めると5万種類に及ぶとか。。。いずれにせよ地球上で最も種類の多い植物とされています☆
by アマデウス (2009-11-21 07:57) 

pegasas

ランの種類の多さにびっくりです。野生のランは私が
知っているランの美しさや豪華さを想像出来ない位シンプル
で可憐な花だったのですね。生き方もしたたかですね~
とても勉強になりました。

by pegasas (2009-11-21 18:35) 

アマデウス

pegasasさん!こんにちは~☆
コメントありがとうございます!
一般的に人工交配種は派手な色や形になりがちですね(それを求めて交配するわけですが)。野生(原種)蘭の美しさには「厭き」がきませんね☆
寒冷地のランは小型の花、温暖地のランは大型の花をつけます☆

by アマデウス (2009-11-22 22:03) 

nanno

私も蘭と言えば胡蝶蘭のような豪華なイメージしか持っていなかったので
野生の蘭の写真を見てすごく感動しました!!

アマデウスさんのブログを読んでいると
今まで全く知らなかったことに興味を持つようになり
なんだか自分の世界が広がるような気がして楽しいです♪

by nanno (2009-11-25 15:57) 

アマデウス

nannoさん!こんにちは~☆
嬉しいコメントありがとうございます☆
野生の蘭が咲いているのに出会うと「ご苦労さま~」って声をかけたくなります。たくましくもあり、いじらしくもあります☆
by アマデウス (2009-11-26 07:32) 

nekotaro

私も胡蝶蘭のような派手なイメージが先行してましたが、
結構、シンプルな花もあるんですね(^o^)
なるほどってカンジです!!
by nekotaro (2009-11-27 15:46) 

アマデウス

nekotaroさん!こんにちは~☆
コメントありがとうございます!
胡蝶蘭、カトレヤ、シンピジューム、バンダといった洋蘭は人工交配により
派手な蘭に仕上げられて市場に出荷されていますよね☆
他方、洋蘭の大部分、或いはエビネ、シランなど東洋蘭はシンプルで清楚な
蘭が多いですね☆
by アマデウス (2009-11-27 23:23) 

モッズパンツ

いろーんな形のランがあるのですねー。面白いですね。w (^ω^)b
虫に好かれるように、長い時間をかけて進化してきたのですね。何だか壮大なドラマのようですね。すごいなー。w (´∀`)ノ

(^ー^)ノシ
by モッズパンツ (2009-11-30 00:28) 

アマデウス

モッズパンツさん!こんにちは~☆
コメントありがとうございます!
本当に色んな形、香り、大きさのランがあって面白いです☆
恐竜の時代から現代まで約8千万年をかけての歩み(進化)なんですよね☆
by アマデウス (2009-11-30 22:48) 

NO NAME

Great information! I’ve been looking for something like this for a while now. Thanks!
by NO NAME (2011-01-25 23:03) 

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