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ドン・ジョヴァンニ(その4) [オペラ]

モーツァルトの音楽を敬愛する人たちは極めて多彩ですが、
特に「ドン・ジョヴァンニ」を称賛している音楽家・文豪などの言葉を
少し引用します。

まず、モーツァルトと同業の音楽家の賛辞から;

≪私は神とモーツァルト、そしてベートーヴェンを信じる。
彼の『ドン・ジョヴァンニ』をみたまえ!
いったいどこで音楽は、このように極めて豊かで、明確な個性をえたのだろうか。
リヒャルト・ワグナー

★ヴィルヘルム・リヒャルト・ワーグナー:Wilhelm Richard Wagner, 1813年5月22日 - 1883年2月13日、
 19世紀のドイツの作曲家であり、また理論家、文筆家としても知られる。

ドン・ジョヴァンニ」、この比類ない不滅の傑作、オペラの最高峰は、今や百年の生命を経て、
世界的な名声を博しています。「ドン・ジョヴァンニ」のスコアは、私の一生に天啓を与えてくれました。
それは私にとって劇的にも音楽的にも非の打ち所のない一種の化身として存在しましたし、今なお
それに変わりありません。
シャルル・グノー

★シャルル・フランソワ・グノー:Charles François Gounod,1818年6月17日 - 1893年10月18日、 フランスの作曲家。
 ゲーテの『ファウスト』第1部にもとづく同名のオペラで有名。バチカンの実質的な国歌である『賛歌と教皇の行進曲』を作曲した。

が作曲するつもりの題材に「ドン・ジュアンの青春」というのがあります。しかし、この名前だけが、
私の作品と、モーツァルトの不滅の名作との間にある唯一の類似点です。
ジャック・オッフェンバック

ジャック・オッフェンバック:Jacques Offenbach, 1819年6月20日-1880年10月4日:ドイツ生まれでフランスで活躍
  (後に帰化)した作曲家/チェロ演奏者/オペレッタ作曲家。オペレッタの原型を作ったともいわれ、オペレッタの父とも称されている。 
  音楽と喜劇との融合を果たした作曲家。ロッシーニは「シャンゼリゼのモーツァルト」と呼んだ。 
  

は「ドン・ジョヴァンニ」の音楽にすっかり惚れ込んでいるので、今あなたに書いている瞬間
でも興奮で胸がいっぱいになり、泣きたくなるくらいです。「ドン・ジョヴァンニ」の音楽こそ、私が
感動というものを覚えた最初の音楽です。イタリア・オペラしか知らなかった私が生涯を音楽に
捧げるようになったのも、モーツァルトのおかげです。。。
ピョートル・チャイコフスキー

★ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー:Peter Ilyich Tchaikovsky、1840年5月7日 - 1893年11月6日、ロシアの作曲家

音楽家以外では。。。

。。。「ドン・ジョヴァンニ」を聴きに行くためなら百里の泥道でも歩いていこう。。。
スタンダール

★スタンダール:Stendhal、1783年1月23日-1842年3月23日、グルノーブル出身のフランスの小説家。
  本名は、マリ=アンリ・ベール(Marie Henri Beyle)。

その他ヘルマン・ヘッセや哲学者キェルケゴールなども「ドン・ジョヴァンニ」を称賛しているのである。

★ヘルマン・ヘッセ:Hermann Hesse, 1877年7月2日 - 1962年8月9日、ドイツの作家。主に詩と小説によって知られる20世紀前半の
  ドイツ文学を代表する文学者。1946年に『ガラス玉演戯』などの作品でノーベル文学賞を受賞した。
★セーレン・オービエ・キェルケゴール:Søren Aabye Kierkegaard, 1813年5月5日 - 1855年11月11日、デンマークの哲学者であり、
  今日では一般に実存主義の創始者、またはその先駆けと評価されている。


snapshotDonGiovanni.jpg
モーツァルトの生誕地ザルツブルグ(オーストリア)の大聖堂の鐘楼と円蓋。上方にホーエンザルツブルグ城を望む。

☆前回記事「ドン・ジョヴァンニ」(その3)よりの続き☆

ドン・ジョヴァンニはドンナ・アンナ(殺された騎士長の娘)とその許婚のドン・オッターヴィオと
出くわす。暗闇にまぎれて自分を犯そうとし更には父である騎士長を刺殺した犯人がドン・ジョヴァンニ
であるとは思いもかけないドンナ・アンナは旧知のドン・ジョヴァンニに父の仇討ちの助っ人を頼む。

これを大いに熱っぽく引き受けるドン・ジョヴァンニであるが、まさにこの時ドンナ・エルヴィーラが
通りがかリ、彼女は、ドン・ジョヴァンニを信用してはならないことをドンナ・アンナと
ドン・オッターヴィオに忠告する。この事態をなんとか収拾せんとするドン・ジョヴァンニは、
「ドンナ・エルヴィーラは気がふれている」とまで説明し出すのである。

ドンナ・アンナとドン・オッターヴィオは疑惑にかられる。この一連の流れと各人の動揺を
モーツァルトは見事な四重唱で描き出す。

ドンナ・エルヴィーラが去った後ドン・ジョヴァンニもドンナ・アンナに挨拶をして立ち去るのであるが、
ドン・ジョヴァンニの一連の振る舞いから、ドンナ・アンナは自分を犯そうとし、最愛の父を刺殺した
犯人はドン・ジョヴァンニであることに突如気づき驚愕する!

その驚愕の事実をドンナ・アンナは犯されかかった成り行きと共に、許婚のドン・オッターヴィオに
話す。友情の影に隠れて貴族たるものにそんなことがあり得るのかと愕然とするドン・オッターヴィオ。

ドンナ・アンナはドン・オッターヴィオに復讐を求めアリア「もうおわかりですね、
誰が名誉を”Or sai chi l'onore"を歌う。

ドンナ・アンナDonna Anna:アンナ・トモワ・シントウAnna Tomowa-Sintow
ウィーン・フィルハーモニー楽団 Wiener Philharmoniker
指揮:ヘリベルト・フォン・カラヤン Herbert Von Karajan


DONNA ANNA

Or sai chi l'onore..............................もうお分かりですわね、誰が名誉を
Rapire a me volse,...........................わたくしから奪おうとしたか。
Chi fu il traditore..............................誰が裏切り者なのか
Che il padre mi tolse........................誰がわたくしから父を奪い去ったか、
Vendetta ti chiedo,..........................あなたに復讐を求めます、
La chiede il tuo cor..........................あなたの心もそれを求めておりましょう。
Rammenta la piaga.........................あの傷口を思い出して下さい、
Del misero seno,.............................あの無残な胸の、
Rimira di sangue.............................思い浮かべて下さい、血に
Coperto il terreno.............................染まった地面を、
Se l'ira in te langue..........................もしあなたのうちで弱まるなら、
D'un giusto furor...............................激しくあって当然なお怒りが。

       ★★★★★         ★★★★★         ★★★★★

ドンナ・アンナのアリアの最後で「当然な怒りが弱まる様であれば。。。」と歌っている通り、
ドン・オッターヴィオは自分の感情を抑え何事にも慎重で、復讐をするといった行動には
出れない性格なのである。この性格がドンナ・アンナをして結婚に踏み切れさせないのである。
又、彼女は、性格的にドン・オッターヴィオとはまったく正反対の旧知のドン・ジョヴァンニに
ある面惹かれていたのではないかとさえ思えるのである。

プラハ版ではドン・オッターヴィオがレチタティーヴォで「貴族とあろうものがその様な卑劣な
行為をするものであろうか。。。と歌ってこの場は終わるのであるが、プラハのあとの
ウィーン初演(1788年5月7日)ではモーツァルトは、ドン・オッターヴィオのアリア
「あのひとの安らぎは私の安らぎ」”Dalla sua pace la mia dipende"を追加作曲するのである。

★ウィーン初演に際し、ドン・オッターヴィオ役のテノールが第2幕にあるドン・オッターヴィオのアリア「私の宝のあの人を」
”Il mio tesoro"が難しくて歌えないとの事態となった為、このアリアをカットし、その代わりに新たに作曲した
”Dalla sua pace"を第一幕に持ってきたというのが実態である。

モーツァルトは、このアリア”Della sua pace”を通じて貴族ドン・オッターヴィオの
明確な音楽的性格描写を行うのである。

ドン・オッターヴィオDon Ottavio:イェスタ・ヴィンベリGosta Winbergh
「あのひとの安らぎにわたしの安らぎはかかっている」”Dalla sua pace la mia dipende ”
ウィーン・フィルハーモニー楽団 Wiener Philharmoniker
指揮:ヘリベルト・フォン・カラヤン Herbert Von Karajan


DON OTTAVIO...........................ドン・オッターヴィオ

Dalla sua pace...........................あのひとの安らぎに
la mia dipende,...........................私の安らぎはかかっている、
quel che a lei piace.....................あのひとに喜ばしいことは
vita mi rende,..............................私に命をあたえ、
quel che le incresce....................あのひとに不快なことは
morte mi dà................................私に死をあたえる。
S'ella sospira,.............................あのひとが嘆き悲しめば
sospiro anch'io;...........................私も嘆き悲しむ、
è mia quell'ira,............................その怒りは私のもの、
quel pianto è mio;.......................その涙は私のもの。
e non ho bene,...........................そして私も幸せではない、
s'ella non l'ha..............................もしあのひとが幸せでなければ。



関連記事
ドン・ジョヴァンニ(その1)
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ドン・ジョヴァンニ(その3@オペラの歴史)
モーツァルト31歳・父レオポルトの死と「ドン・ジョヴァンニ」(ウィーン⑦1787年)



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さとふみ

私はドン・ジョヴァンニを聴いてドイツ系音楽の凄さというものを体感しましたよ。
by さとふみ (2009-11-27 06:36) 

アマデウス

さとふみさん!こんにちは~☆
コメントありがとうございます!
ドン・ジョヴァンニは最後の地獄落ちの恐怖の音楽も含め
18世紀のオペラとしては画期的ですよね☆
by アマデウス (2009-11-27 11:33) 

kontenten

・・・そして金型屋kontentenの一言・・・
『眠らずに全編鑑賞する事が出来る唯一のオペラが「ドン・ジョヴァンニ」である。』
ちょっと(大変)オーバーに書きましたが・・・^^;Aアセアセ
指揮者や楽団、出演者の違いを比べる楽しみのあるオペラですね。
他の作品ですと、評を頼りに1本DVDを買って鑑賞するのが関の山ですが
いやはや・・・今度はカラヤンを買って3本目になってしまいました(><)
by kontenten (2009-11-27 11:51) 

LittleMy

モーツァルトは、天才です!!
最近、しばらく歌っていなかったのですが、また楽譜引っ張り出してきました☆
by LittleMy (2009-11-27 14:00) 

whitered

こんにちは。数々の芸術家や文筆家の賛辞を見ていて、「ドン・ジョバンニ」のすごさを感じることができます。原作もモーツァルトなんでしょうか。この複雑極まりない人間模様をオペラで表すのは、神業ですね。是非とも生で聴いてみたいです。
by whitered (2009-11-27 16:02) 

pegasas

私もモーツアルトは天才だと思いますね。そして大好きです。
ドン・ジャバンニは是非聴いて見たいですね。
35年の間に800も作曲したと云われていますよね?
それだけでも凄さがわかりますが、それも皆名曲ですものね~~

by pegasas (2009-11-27 20:37) 

アマデウス

kontentenさん!こんにちは~☆
「ドン・ジョヴァンニ」称賛の素晴らしいコメントありがとうございます!
まさにその通りだと思います☆DVDお買い上げ多謝です。Sony Classical
になりかわりお礼申します☆(^-^)

by アマデウス (2009-11-27 21:23) 

アマデウス

LittleMyさん!こんにちは~☆
嬉しいコメントありがとうございます!
モーツァルト是非レパートリーとして維持して頂きたいです☆
LittleMyさんのモーツァルト聴かせて頂くのを楽しみにしています☆
by アマデウス (2009-11-27 21:28) 

アマデウス

Whiteredさん!こんにちは~☆
嬉しいコメントありがとうございます!
ドン・ジョヴァンニの台本を書いたロレンツォ・ダ・ポンテ(伊)が参考にしたのは
次の作品です;
①モリエールの戯曲「ドン・ジュアン:あるいは石像の宴」(1665年)
②ベルターティのオペラ台本「ドン・ジョヴァンニ、あるいは石の客」(1787年2月5日ヴェネツィアにて初演、ガッツァニーガ作曲)
殆ど上記②をベースにダ・ポンテは2ヶ月弱程で台本を作成。4月からモーツァルトが作曲を開始しました。ということで内容はかなり異なりますが原作ということでは、モリエールの戯曲「ドン・ジュアン」ということになるかと思います。
by アマデウス (2009-11-27 21:53) 

アマデウス

pegasasさん!こんにちは~☆
嬉しいコメントありがとうございます!
5歳で作曲を開始したのですから、すごいですよね☆
Amadeus=Ama(愛する)+deus(神)=「神に愛される」というラテン語名の通り、
神童、天才ですよね☆
by アマデウス (2009-11-27 22:14) 

Cecilia

ドンナ・アンナ、アンナ・トモワ・シントウだと非常にドラマティックですね!
手持ちのCDもこれと同じ演奏です。
生で初めて観た時のドンナ・アンナはもっと軽い声でしたがそちらもなかなかよかったです。
トモワ・シントウみたいには歌えそうもないですが、もっと軽い感じなら歌ってみたいです。
ツェルリーナしか歌ったことがないので・・・。

by Cecilia (2009-11-30 09:52) 

アマデウス

Ceciliaさん!こんにちは~☆
コメントありがとうございます!
ドンナ・アンナ是非歌って下さいね☆
聴かせて頂きたいです☆

by アマデウス (2009-11-30 22:39) 

モッズパンツ

モーツァルトの音楽は、音楽療法でも使われることが多いようですが、頭の回転が速くなったり、癒し効果も期待できるようですね。いいなー。w (´∀`)ノ
by モッズパンツ (2009-12-07 23:28) 

アマデウス

モッズパンツさん!こんにちは~☆
コメントありがとうございます!
癒し効果など「モーツァルト効果」は科学的にも立証され音楽療法にも
とりいれられていますね☆
ストレスは万病のもと。モッズパンツさんもモーツァルトを聴いて
効いて下さいね☆
by アマデウス (2009-12-09 13:03) 

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